MP3といえば、もはや音楽のことと説明しないでもいい程世の中に浸透しているようです。
普及目覚ましい多くの携帯音楽プレーヤーもこのへんのフォーマットを使用してて、その謳い文句は『数千曲をこの小さなボディーに納められます』ということで見事に一致。
そうね確かにその通りなんだけど、一つ気になるところがある。音質は『CDクオリティ』だというが、16bit 44.1KHzという数字だけのことであってホントは全く違うものです。数千とかそれだけ多くの曲数を入れるために音が犠牲になっているということはあまり触れられてない。
ずーっと昔、初めてウォークマンを聴いたときのこと。それまでスピーカーから聴くことはあってもヘッドホンで聴いたことが無かった私は、スゴく近くに音楽を感じられるというその魅力にココロ踊りました。
実際ステレオできちんと音を聴くためには、スピーカーと自分の位置や部屋の状態などいろいろ条件が整うことが必要で、一方ヘッドホンは耳に密接するため、影響するものが少なく録音された音をストレートに聴くことができます。
その密接状態で圧縮された音楽を聴くとどうなるか。ラジカセなんかよりストレートに音のクオリティーが出てしまうわけで、結果「音が悪い」という感想をユーザーが持つのは当然ですよ。ま、携帯プレーヤーが音悪いっていうのはいいんです。残念なのは本来その曲の持っているパワーがすべてリスナーに伝わらないということ。音楽のパワーは音質によるところも大きい。しかしながら今現在ダウンロードで購入する音楽は、CDのそれとは違うものということは消費者には伝わっていないんじゃないかな。曲の価格が安いのにはちゃんと理由があるんだよお!
その状態を少しでも改善するためにiTunesのエンコーダの一つとして採用されたApple Losslessというフォーマットは評価に値します。データのハンドリング性とコスト面もあるだろうからあまり宣伝してないけど、これから自分のCDをエンコードして音楽ライブラリを作ろうと思っている人は、このエンコーダを使うことをオススメしたい(※)。
しかし今に携帯電話が音楽プレーヤーになってしまったりするんだろうが、一曲の重みがその圧縮サイズと共にさらに減っていく様な気がしてなんだか切ない。
※ Apple Losslessはデータ量が大きいので、iPodに入る曲数も減ります。またキャッシュメモリをオーバーしての再生となるときに音飛びが発生しやすくなるという報告もあるようです。ただ、このへんは将来のプレーヤーの進化で改善が期待できるので、再度大量の曲のエンコード作業をしなおすよりはいいかなと思うんだが。
2004/10/25
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