初めてレコーディングスタジオでのお仕事をした時の話。自宅で完成させた音をマルチに取り込んむと、スタジオのでっかいスピーカーから自分の作った音が流れてきた。やおらミキサーさんが、ドラムの音の調整を始めたのだけど、その音の質感の衝撃がもの凄くて!!自分の音のはずなのに、いつも自分が聴いている音とは、もう全く雲泥の差だったのです。初めて知る音のクオリティ。
『なんだろうこれは?!』機材のことなんかちっとも知らなかったので、質問するのも恥ずかしく、とにかくスピーカーに刻印してあった『PMC』という名前だけを忘れないように覚えて帰った。改めて調べてみるとそれがPMC BB5という機種で、英国のメーカーだということを知る。まぁ当然のことながらこの機種はハイエンドの中でも一番トップに位置するもので、価格も大きさも自宅に置けるような代物ではない。そんなわけで、それから長い間PMCという名前からは遠ざかっていた。
先日イギリスのBrexitでポンドが下がった時、ふとマイクでも買おうかなと思ってUKのサイトをいくつか見ていた時、すっかり忘れていたその文字が飛び込んでくる。『PMC twotwo6』なにそのお茶目な名前!しかしこのモニタには一度ワークショップで出会っていたのを思い出した。あのコンパクトさでPMCの音が!憧れが手に入るかもしれない!という興奮はもう抑えられなかった。
それから1ヶ月半。本国から直送されてきたそれは、今まだエージングの途中ながらも、既ににそのポテンシャルの片鱗を現しつつある。自分がリスナーとして一番音楽に熱かった時代のCDを、洋楽・邦楽混ぜこぜで鳴らしているのだけれど、しっかり手をかけて作ってあるのと、そうでないものの差が手に取るようにわかる。
人間の耳は、大きい音を聞くと感覚が飽和してしまい、派手な音=いい音と錯覚を起こすんだけど、このスピーカーで聴くと、音量の大小に関わらずダメなものはダメですよと教えてくれるのだ。怖いので自分の作品はまだ聞いていないのだけどね笑。音が良いって楽しいんだってことを今更のように教えてくれる、この英国の暴れん坊の紳士にはこれから相当にお世話になるだろうね。
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