祈り

「祈り」というタイトルを持ったメロディーが届いたのは数日前。本番まで時間もないので、キラキラと軽い仕上がりにしようねという打ち合わせの通り、いくつかベル系の音色を当てていけば数時間で形にはなるだろうと見込んでいたのだが、これがちっとも進まない。素直なメロディーなので悩むことはないはずなのだけど、これは一度置いておこうと放っておいた。

そのまま飲みに出かけて翌朝。飛び込んできたのはまたもフランスで起こったおぞましいニュース。フランスといえば、二年前に感じた大人たちの少しくたびれた表情と子供達の元気な声が、重厚な街並みと濃いカフェの味と一緒に新鮮に自分の記憶に残っている。そこに影があったのは確かだけど、まさかこれ程の黒い禍が立ち込めることになるなんて。

いま起こっている厄は、積み重なった人間同士の憎悪。人と人との繋がりは感謝にもなり、悲劇にもなる。世界とつながるということはそういう現実でもある。

五年前に自分の国で起こった厄、あれは確かに自分を変えた。その時自分が立ち直れたきっかけは音楽。そこからパリとの繋がりをくれたのも音楽。音楽で浄化されて世界が変わるなんていうことを思っているわけではないけれど、そんなときに「祈り」なんていう曲が目の前にあるのだ。祈りを込めて作るしかないと思った。
2015/11/15

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