電車から見える小さなたたずまいのお店。
そこがコーヒー豆の専門店と分かったのは、引っ越して数年経ってからの事。
ある日そこからお知らせが来て、初めてのセールをやりますと。
ちょうどコーヒーも無くなっていたから、少し離れたお店まで行ってみた。
たどり着く前から甘い香りが漂い始めるくらいだから、
もうお店の中は極上の香りで満たされていて、初めて
ストレートの豆を100gずつ3種類かな、買って帰った。
それからは、あの香りを思い出しにちょくちょく行く様になって
だんだん豆の種類も覚えたり、ミルもそこで新調したりしてコーヒーが楽しくなっていった。
ある日、お店に寄るといつものマスターでなく、お姉さんが二人。
「あれ、いつものマスターは?」
「先日 亡くなったんです…」
「え!」
まだ全然若い感じの人だったのだが…話を聞くと、
すさまじいコーヒーへの情熱だったらしい。
その飲む量も半端無かったのだとか。
人の命は儚いというが、こういうことか。
それと同時に知った事がもう一つ。
コーヒー豆は、それを手にかける人によって
全然違う味になってしまうということ。
もっと早くお店を知っていたかったよな。
もう10年くらい前の話だが、あれ以上の
ストレートのコーヒー豆はまだ出会っていない。
久しぶりにコーヒー豆をひいたら思い出した。
2011/9/26
Comments